Plant de Vigne

アクセスカウンタ

zoom RSS オセロー観劇

<<   作成日時 : 2007/10/29 17:56   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 3

先週末、蜷川幸雄演出で、シェイクスピア4大悲劇のひとつ「オセロー」が富山に来たため、見逃すわけにはいかない!とばかりに出かけました。

画像


久々に本格的な芝居を見たい、という気持ちと、蒼井優が見られる!というちょっとミーハーな気持ちで行ったのですが・・・。
1階席の観客が総立ちで割れるような拍手をしているカーテンコールの頃には、涙がこみ上げてきて、感動で震えていました。素晴らしかったです。

科白のひとつひとつに、人間そのものを深く描き出すシェイクスピアの作品。どの科白ひとつとっても心の琴線に触れるのですが・・・。この「オセロー」は、一人の人間が、そしてその世界が崩壊していくきっかけは単なる勘違い(策略により勘違いさせられるのですが)。描き方によっては滑稽にさえ思えるこのストーリーを、差別に対する強い劣等感であったり、愛するが故の苦悩であったり、そういう深いところまで掘り下げて強く共感を抱かせる演出、そして役者の演技は本当に素晴らしいものでした。

蒼井優の、清冽で純粋、凛としたヒロインぶりもとても素敵でした。3階席から見ていたので表情の細かいところまでは分からなかったのですが、すごいオーラが出ているのですよ・・・。デステモナ役にあの年代では他の役者が思いつかないくらいに、適役だったと思います。そして、吉田鋼太郎。彼の演技には鳥肌が立ちました。彼の流す涙、その涙の重みに胸をつかれました。

画像



しかし、このお話、女性としてはやはり悲しいですね。
愛した男性のために家を捨て、危険も覚悟のうえで戦場へついて行ったのに、その男は最後の最後まで、自分の言葉を信じてくれなかった。どんなにひどいことを言われても、ひどい仕打ちをされても耐えて、愛し抜こうとしたのに、その男の手で殺されてしまう。
死に際にすら、デステモナは彼をかばって、「これは、私が自分で首をしめたの。あの人ではない」と次女に伝えます。人間のなかの美しい感情、誠実と純潔そのものとして彼女は描かれますが、その美しい愛ですら、強い劣等感を抱き、嫉妬に狂ったオセローには届かなかった。

愛は、救いになり得るのではないかなあと漠然と思っていたのですが、本当の救いのためにはただ愛するだけでは足りないのかもしれない。相手と共に立つその地に、本当の居場所をつくることであったり、心からの信頼をつくっていくことは、とても難しく時間がかかることなのかもしれない。
愛することは、知ること、理解することでもある。
オセローのすべてを心底愛していたデステモナも、短い結婚生活では気づくことが出来なかった。彼の心の奥底にある、自分が有色人種であり、白人の社会では常に偏見をもって受け入れられるという、自分ではどうしようもない事実から生まれる劣等感。その社会の中で彼が築いてきた地位は、戦って名を上げることのみから生まれているという、彼の立つその地の弱さや脆さに。
それを知り、理解していくには、やはり長い年月やより沢山の語らいが必要だったのかなあと思います。


さて幸いなことに、私たち夫婦には、狙われるような地位もなく、とくに策略にはめてみても利益を得る人もいません。平和であります。
なので、ゆっくりと時間をかけてお互いをより深く知り、私たちの立つ大地を耕し、豊かな実りと簡単には揺るがない私たちの場所を築いていきたいなあとしみじみ思いました。



Acco

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
相変わらずするどい洞察力と人間観察力だね。
「オセロー」のあらすじをまるで雑誌で読んだかのようで、とても説得力がありました。
文章を書いてみて、ってオススメしたいです。

素敵な夫婦になるためには、一緒に歩く時間もひとつの条件なんだね。
ごちそうさま。
ぐぴろん
2007/10/29 21:47
吉田鋼太郎がすごくイイってあちこちで読んでて
行きたかったんだけど、スケジュールが合わず(涙)
感動と共に色々考えさせられるお芝居だったんですね。「簡単には揺るがない場所」素敵な表現だな〜。
しかし、デステモナよりもオセローにちょっとシンパシーを感じます。描かれ方が強烈だけれど、より人間らしく思えたりして。
ぱんこ
2007/11/01 18:24
>ぐぴろんさん
ありがとう〜。感動するものに出会うと、自分の中で反芻して、自分の言葉にして書きたくなるのです。ブログネタとしてはあまりうけないのかもしれないが・・・。
オセローを見ながら、主人に重ねずにはいられませんでした。私たちまだまだです。がんばろうっと。
>ぱんこさま
これを見逃したのは残念でしたね〜。ほんとに吉田鉱太郎さんは良かったです。眼が離せませんでした。
後で色々読んで知ったのですが、「オセロー」は、オセロー自身よりも策略にはめるイアゴーのほうに眼が向く演出が多いそうです。オセローの圧倒的な存在感と、彼の深層を深くえぐるようにして観客に見せる手腕は、蜷川×吉田コンビならではだったのかもしれません。デステモナは天使か女神のように描かれますが、オセローをはじめとしたそれ以外の登場人物は皆弱さがあり迷っていて、私も見ながら自分に重ねることが多くありました。共感がわくと、登場人物にとてもリアリティが出てきます。素晴らしいお芝居でした。
Acco
2007/11/01 18:51

コメントする help

ニックネーム
本 文
オセロー観劇 Plant de Vigne/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる